夫の皿をテーブルに並べていると、トントン、と娘が階段を降りてくる。今日は、日曜だというのになぜか制服姿。「どうしたの?」「・・・部活。」口を開くことさえ鬱陶しいと、言わんばかりに娘が不機嫌な顔をする。夫の前にそそくさと座った彼女は、夫の皿からトーストを摘んで、口へと運んでいく。新聞を読んでいた夫と、ちらり、と目が合うと、すごく嬉しそうに笑う。その無邪気な笑みが、たまらなく憎らしくて、夫がいなければ包丁で刺してしまうところだった。夫は、今日も接待ゴルフ。朝食を軽めにすませた彼が、席を立つと、娘も一緒に席を立つ。「送っていって。」可愛い娘のお願いに、夫がノーなんて言うわけがない。ふたりは終始にこやかなムードで玄関へ向かう。わたしだけが蚊帳の外。行ってくるよ。」屈託のない夫の笑みが、ひどく憎らしくて、お腹の中で舌を出していた。娘は、何も言わずに、はなからわたしを無視して玄関を出て行く。扉が閉まる間際、娘が夫の方を振り返って背伸びするのを、わたしは見逃さなかった。 こんな朝からふたりでどこへ行くのやら。接待ゴルフだなんて嘘に決まってる。ひどく悩んだ顔をして「EDになった」なんて言ってもいたけれど、それだって嘘に違いない。クリーニングに出そうと、夫の背広を探っていたら、ポケットの中から小さなライター。なにげに印字された文字を目で追うと、ラブホテルの名前。まったく間が抜けている。どうせなら、もっと上手にやればいいのに。相手は、誰かわかっている。娘の下着の中に、見慣れないものが増えていた。小さなフリルのついた可愛いものばかり。それも、色は白と決まっている。新婚の頃は、わたしも、そんなものばかりを身につけさせられていた。髪の毛以外の体毛をすべて剃られて、つるつるになったわたしのおまんこを、いやらしい目で眺めながら、夫は、毎晩おいしそうにお酒を飲んでいた。三十路を過ぎた頃に、さすがに躊躇われて、普通のものに換えたけれど、結局、今も、わたしの下着は変わらない。やっぱり、親子って似るものらしい。車のエンジン音が遠ざかり、覗いた窓の向こうに夫の車がいなくなったのを確かめてから、わたしは居間のカーテンを閉めていった。部屋という部屋のカーテンをすべて閉ざして、彼を迎える支度をする。夫と娘は、きっと夜まで帰ってこない。偶然出くわしたとか、買い物につき合ってもらったとか、子供でもわかるような嘘をつくに決まっている。おかげで、時間はたっぷりとある。丸めた新聞をもう一度ポストに戻して、玄関に鍵を掛けていると、二階から、ゴトゴトと彼の目覚める気配。慌てて押し入れから鞄を出して、中身を拡げていく。大学生にもなって、女の子のフィギュアばかり集めているロリコンの彼。妹の下着を盗んでいるところを見つけて、叱りつけたら、逆ギレされて襲われた。ほんとに彼は、夫によく似てる。縛られて、あそこの毛を念入りに剃られて、今ではすっかり赤ちゃんのよう。昔を思い出して、それからは、すっかり彼のもの。自称EDの夫のことだから、ばれる心配もないので、脱毛クリームを使って全部抜いてしまった。急いで裸になって、彼の好みの下着を身につけた。首に、ヨダレ掛けを巻いて、頭に大きなリボンを結びつけていく。押し入れの奥には娘の使っていた赤いランドセル。それを背中に背負って、頭に黄色い帽子を乗せてから、階段の下で彼を出迎える。床に跪いて、頭を下げていると、ドスドスと、重たげな足音が聞こえてくる。ミシミシと、階段を踏みしめる音に変わり、わたしのあそこは、どうしようもないまでに、濡れていった。
夫の皿をテーブルに並べていると、トントン、と娘が階段を降りてくる。
今日は、日曜だというのになぜか制服姿。
「どうしたの?」「・・・部活。
」口を開くことさえ鬱陶しいと、言わんばかりに娘が不機嫌な顔をする。
夫の前にそそくさと座った彼女は、夫の皿からトーストを摘んで、口へと運んでいく。
新聞を読んでいた夫と、ちらり、と目が合うと、すごく嬉しそうに笑う。
その無邪気な笑みが、たまらなく憎らしくて、夫がいなければ包丁で刺してしまうところだった。
夫は、今日も接待ゴルフ。
朝食を軽めにすませた彼が、席を立つと、娘も一緒に席を立つ。
「送っていって。
」可愛い娘のお願いに、夫がノーなんて言うわけがない。
ふたりは終始にこやかなムードで玄関へ向かう。
わたしだけが蚊帳の外。
行ってくるよ。
」屈託のない夫の笑みが、ひどく憎らしくて、お腹の中で舌を出していた。
娘は、何も言わずに、はなからわたしを無視して玄関を出て行く。
扉が閉まる間際、娘が夫の方を振り返って背伸びするのを、わたしは見逃さなかった。
こんな朝からふたりでどこへ行くのやら。
接待ゴルフだなんて嘘に決まってる。
ひどく悩んだ顔をして「EDになった」なんて言ってもいたけれど、それだって嘘に違いない。
クリーニングに出そうと、夫の背広を探っていたら、ポケットの中から小さなライター。
なにげに印字された文字を目で追うと、ラブホテルの名前。
まったく間が抜けている。
どうせなら、もっと上手にやればいいのに。
相手は、誰かわかっている。
娘の下着の中に、見慣れないものが増えていた。
小さなフリルのついた可愛いものばかり。
それも、色は白と決まっている。
新婚の頃は、わたしも、そんなものばかりを身につけさせられていた。
髪の毛以外の体毛をすべて剃られて、つるつるになったわたしのおまんこを、いやらしい目で眺めながら、夫は、毎晩おいしそうにお酒を飲んでいた。
三十路を過ぎた頃に、さすがに躊躇われて、普通のものに換えたけれど、結局、今も、わたしの下着は変わらない。
やっぱり、親子って似るものらしい。
車のエンジン音が遠ざかり、覗いた窓の向こうに夫の車がいなくなったのを確かめてから、わたしは居間のカーテンを閉めていった。
部屋という部屋のカーテンをすべて閉ざして、彼を迎える支度をする。
夫と娘は、きっと夜まで帰ってこない。
偶然出くわしたとか、買い物につき合ってもらったとか、子供でもわかるような嘘をつくに決まっている。
おかげで、時間はたっぷりとある。
丸めた新聞をもう一度ポストに戻して、玄関に鍵を掛けていると、二階から、ゴトゴトと彼の目覚める気配。
慌てて押し入れから鞄を出して、中身を拡げていく。
大学生にもなって、女の子のフィギュアばかり集めているロリコンの彼。
妹の下着を盗んでいるところを見つけて、叱りつけたら、逆ギレされて襲われた。
ほんとに彼は、夫によく似てる。
縛られて、あそこの毛を念入りに剃られて、今ではすっかり赤ちゃんのよう。
昔を思い出して、それからは、すっかり彼のもの。
自称EDの夫のことだから、ばれる心配もないので、脱毛クリームを使って全部抜いてしまった。
急いで裸になって、彼の好みの下着を身につけた。
首に、ヨダレ掛けを巻いて、頭に大きなリボンを結びつけていく。
押し入れの奥には娘の使っていた赤いランドセル。
それを背中に背負って、頭に黄色い帽子を乗せてから、階段の下で彼を出迎える。
床に跪いて、頭を下げていると、ドスドスと、重たげな足音が聞こえてくる。
ミシミシと、階段を踏みしめる音に変わり、わたしのあそこは、どうしようもないまでに、濡れていった。